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【レポート】未来セッションvol.3 まちとのアクセスを考える

2023.08.08(火)

豊橋まちなか未来会議では、まちなかのこれからを様々な方と学び、議論し、その実現を考える「未来セッション」を行います。vol.3として、様々な場所からまちへ、まちから様々な場所への公共交通によるアクセスの意義や課題、これから目指す先について考えました。


東は豊根村から、南は田原市、西は名古屋市まで、多くの地域から交通や地域振興に関心あられる方々50人弱にお越し頂き、さまざまな角度からの意見を出し合い議論いたしました。

【話題提供】まちなかをつなぐ公共交通の価値と役割

合同会社 萬創社 代表 福本 雅之さん

豊橋市は、多様な公共交通、特に私鉄が残っている珍しい地方都市であり、公共交通への財政支出も他地域比較して少なく民間事業としての公共交通ネットワークが維持されている、そうです。

そのなかで、公共交通を取り巻く概要についてお話しされながら、「さぁ公共交通は必要だと思うか?私は必要だと思っている。」という投げかけがありました。

公共交通って本当に必要なの?

  • 市民の70%は自動車を利用(豊橋市 PT調査)しており、公共交通は10人に1人も使っていない点
  • 高齢者は増えてもみんな免許を持っている点
  • 若者も外出離れしてきている点
  • 将来的には自動運転技術もできてくる点

公共交通が必要とされる理由

  • 高校進学時の移住(公共交通による通学手段がない場所には住めない)の問題
  • 送迎負担の家族内偏重の問題
  • 自動車を個人所有するための費用の問題
  • 必要となるインフラ的なスペースの問題
  • 地域内への経済寄与率の高さ

【ディスカッション】par1. まちなかアクセスの価値と役割

まず、まちなかへアクセスする手段として、渥美線沿いの愛知大学とバス路線沿いの技術科学大学の学生さん、まちなかへの通勤者の方などから実態や考えについて伺いました。

  • 通学のためいつも利用している。特段、不便に感じない。一方で、学校がないときは豊橋に来る目的自体がない。
  • 車通学が多い。公共交通での通学は乗り換えが発生するため面倒。学校がないときに飲食店などに行こうと思っても、まちなかで目的地となる魅力的な場所が少ない
  • 近年進む駅周辺のマンション開発のように、まちに居住してそこから目的地へ通ってもらう視点、逆に目的地地として知ってもらうための発信、が重要だと思う。

福本さんから、まちや郊外の様相はロードサイド化の進展で変わってきたのに、バス等の路線は昔から変わっておらず利用者が減ってしまっているのがよくある状況。確かに路線を変えることも大切なのかもしれないが、少し立ち止まって、これはまちの在り方として望ましいのかを考える必要があるのではないか?と整理頂きました。

公共交通を研究する豊橋技術科学大学 松尾准教授から、利用実態の調査およびアンケート調査の概要をお話頂き、少なくとも沿線においては非常に多くの方が愛着を感じていらっしゃること、昼間時間帯の利用者アップが課題であること、などの説明がありました。

続いて、市電の利用について伺いました。

  • 豊橋の魅力とは路面電車である。「見る市電」「乗る市電」「考える市電」というコンセプトで”市電を愛する会”を設立・運営してきた。環境問題の観点からもその活用は重要だと考える。
  • 昼間利用の想定顧客は誰か?は難しい問題。
  • カルミアの利用者に対して、駐車券サービスに加えて、市電切符サービスを始めた。顧客として市電沿線上は重要なお客様と認識しており、こうした取り組みの効果的な進め方を模索している

【ディスカッション】par2. 豊橋のまちなかと東三河の交流・回遊の促進

まず豊橋鉄道さんから、「交通情報に関する情報伝達不足・目的地の魅力発信不足でおでかけのきっかけが失われているのではないか?前半”まちなか”へのアクセスを中心に話したものの、これは”東三河”とした場合も同様。利用者にとっては市町村の継ぎ目はないので、正しい情報発信・広域で取り組むこと、を意識していくべきだろう」という意見がありました。

これを受けて、豊根村の観光協会の方から、「電話でアクセスに関する問い合わせを受けることが時々あった。豊根村には観光地でも公共交通で行きつけない、例えば茶臼山がある。そうした必要な情報をしっかり発信することは大切だと思った。一方で、豊根村のなかのことは話せても、例えば豊橋駅や新城ICからのアクセス情報や観光情報は話せない。公共交通でいらして下さる方にとって、乗り換えの時間帯をどう楽しめるかの情報もない。行政区域を超えた情報発信も大切だと自分も感じている。」と発言がありました。また田原市の方からも豊橋経由で田原へのアクセスや観光発信が大切との発言もありました。

また、「東三河高齢者を対象にしたアンケートで免許返納意向を調査したことがある。公共交通が充実されれば返納したいという方が多かった。」という話題に対して、福本さんから「高齢者の免許返納できない状況はよくわかる。一方で、車を手放したい方々手放せない地域に住んでいることは不幸。そういう人達のために公共交通を提供すべき。」というご意見がありました。

会場アンケートをとったところ週1回以上、自分の市町村以外に出かける方は30%くらいいらっしゃった。一方で、公共交通で出かけている方はほぼ皆無であった。司会の森田さんから「市域を跨いで交流する機会を持つとともに、まず自分たちが出かけたり公共交通を使う意識が大切だろう」と提案がありました。

当日は豊橋技術科学大学 小野研究室の学生がレコーディングをしてくれました。


まとめとこれから

交通の在り方について考えることは、まちの在り方について考えること。豊橋は比較的公共交通システムが維持されている都市で、市電への愛着も高いものの、公共交通や中心市街地は弱っている。これから自分たちのまちをどうしていきたいかを考える必要があるのではないか。

行政区域を超えた交通・観光情報の整理・発信は重要そう。そうした方々の交流の機会を増やしていきたいです。


未来セッションについて

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