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【レポート】未来セッションvol.6 瀬戸市での空き店舗活用の取組

2024.01.25(木)

豊橋まちなか未来会議では、まちなかのこれからを様々な方と学び、議論し、その実現を考える「未来セッション」を企画しています。vol.6では、vol.5のセッションのなかで、空き店舗になる前の物件・店舗を承継する取組を行っていると伺った瀬戸市を、セッション参加者の方々とともに訪れ、公目線・貸主/借主目線での空き物件活用について考えました。


当日は、瀬戸市や瀬戸まちづくり㈱の方々に、これまでの取組の沿革をご説明頂きつつ、その背後にある思いや考え方を教えて頂きました。

【事例研究】瀬戸市での空き店舗活用の取組

瀬戸市役所 ものづくり商業振興課 主幹 戸田律子さん
瀬戸まちづくり株式会社 ディレクター 野杁晃輔さん、加藤慎也さん
株式会社ナゴノダナバンク 代表取締役 藤田まやさん

瀬戸市中心市街地にある3つの商店街が、まちづくり会社での空き店舗対策事業の主な対象エリア。昭和初期、古くは明治期の物件も多く残っている。これまで様々な取り組みを継続的に展開してきたなかで大家さんとのつながりも強くなっており、ほぼ全ての物件の状況(賃貸可能かどうか、その理由、大家さんの状況など)を把握して一元化している。賃貸不可の物件の理由は、手間・耐震・導線分離・トラブル回避、相続問題など。

借り手側への補助制度は色々とあり、まちづくり会社でもサブリースでの支援実施をしていた。ただ大家さん側をケアするような制度がなかった。これを埋めるような形で自社で物件を借上げ、又は取得し改装・賃貸するようなこともした。このとき大家さんにはあまり費用や手間をかけさせないので、と提案していた。基本的には、大家・店子で適切に費用按分をするものの、それだけでは動かないことも多い、特に初動期は。貸せない理由のある方々の意識をいかに貸してもいいかなに変えていくことが大切なのだと思う。

空き店舗対策事業を続けているうちに認知もあがり、多い時には月に5件以上の問合せをもらう。まずは、まちづくり会社に相談してみればよいという雰囲気になっている。特別な広報はしてこなかった。5年ほど前から若い方が物件を探しに来られるようになり、30店舗ほどが開業し、貸せる店舗が埋まってきた。問い合わせが増え、物件が減るに従って、だんだんとその商店街エリアで求められているような業態・営業スタイルの方を選抜するようになってきている。

一方で昨今は、閉店の後に住居化する物件も多い。今後、いっそうの高齢化が進むことを踏まえて、事業の廃業・承継などの意向調査をナゴノダナバンクさんにも協力してもらいつつ行った。商店主のみなさんは今後についてほとんど考えておられなかったが、考えるいいきっかけになるとともに、今後まちづくり会社に相談してみようという意識ができたと思う。

まちづくり会社としては、こうした取組は大型施設等で頂いた収益をまちへ還元する事業だと考えている。

瀬戸まちづくり㈱ 野杁晃輔氏 談

【ディスカッション】ポイントは?豊橋では?

説明・現地訪問の後、視察に参加したみなさんと意見交換を行いました。

  • ・大家さんとの関わりを商店街やまちづくり会社で築いていくことが大切だと思う。そのきっかけとして瀬戸市くらいの踏み込んだ詳細調査をするとよいのでは?
  • ・大家さん側をケアする制度や取組がカギだと思います。
  • ・商店街付近には駐車場がほぼないし、視察の最中にほとんど駐車場の話題が出なかった。そのくらい固定客を持っていたり、訪れたくなるような店が入っているのだなと感じました。
  • ・豊橋の水上ビルも大家・テナント・商店街の良い関係が築けるなかで、テナントミックスが上手くいった好事例。そうした関係をつなげられる人や機関があると尾張瀬戸のような魅力的な店も増えるのではないでしょうか?
  • ・思いを持って継続的に活動する主体がいることが重要で、そうした主体をどのように継続させていくかも大切だと思います。

【まとめとこれから】

空き店舗対策事業では、大家の目線を広く把握しつつ、公の目線でまちや活用の在り方を考え、私の目線で事業を調整できる主体がいることが重要だと思われました。そしてその実現のためには、誰がその役割を担うのか、どうやってそれを継続させていくのかを整理することが大切でしょう。

瀬戸市では、瀬戸まちづくり株式会社が駅前大型施設の運営等で得た収益を、商店街振興に充てられていました。豊橋だとどんなやり方がよいのか、更なる議論をしていきます。

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