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【レポート】未来セッションvol.4 地域自治とICTツール

2023.08.16(水)

豊橋まちなか未来会議では、まちなかのこれからを様々な方と学び、議論し、その実現を考える「未来セッション」を企画しています。vol.4では、地域コミュニティが抱える課題について、デジタルツール導入を切り口として、今後の自治組織の在り方や活動について考えました。


自治会役員や新築マンション居住者、自治連合会の事務局、ICTに精通した方など20人ほどが集まり、課題感やその解決方法としてICTツールの是非、導入にあたってのポイントなどについて話し合いました。

【話題提供】ICTテクノロジーと市民活動

Code for MIKAWA主宰 木村 博司さん

自分のご経験や統計データ等からIT業界や地域活動の実態の概要説明がありました。そのなかで、特に自治会において、世代間や属性間の分断をどう埋めるか、が課題であって、特に30-40代の関心は比較体高いものの自治会活動の活動量が少ないクラスターをどう取り込んでいけるかが重要ではないかと投げかけがありました。

取り組まれているシビックテック活動(市民がテクノロジーを利用して地域課題を解決する活動)について取り組まれた事例を紹介されるなかで、世代や属性を超えた場づくりをしてみんなで作ること、情報の地産地消への意識を持つこと、大きなプラットフォームも上手く使うこと、などICTツールを使う上でポイントとなる点を教えて頂きました。


【ディスカッション】地域自治の在り方とデジタルツール

まずコロナ感染症により地域自治活動へのデジタルツールの浸透が加速したのではないか?というファシリテーター小野さんからの投げかけがありました。デジタル化して労力を減らす部分とリアルを重視する部分の選別が重要だろうという意見が多数ありました。

  • 分野によって急速にデジタル化が進んで売り上げが伸びたもの(例えば給与処理など)と意外とそうでない部分がある。
  • 依然として毎月紙での回覧依頼書類が数十種類になりそれぞれ数千戸に仕分けをするのは多大な労力で特に年度初めはひどい。早く次の役員を探したいが、なかなか成り手も見つからなくて・・・

次に、現在電子回覧板の普及を進めようとしている松山校区自治会役員の朝倉さんから、これまでの経緯や内容、課題感などについてお話し頂きました。「みんなで自治会の未来を考え、これからどうしていこうか?という議論をしたなかで、作業はより便利に簡単にして、楽しいことはどんどん増やしてみんなが関わりたいと思ってもらえるようにしよう、という方向性が出された。昨年度からやっている松山フェスティバルや小学校と連携し防災訓練、そして今日の話題の電子回覧板はあくまでそのための手法にすぎない。」という言葉があり、自治会・子供会・PTA・e.t.c.の組織の在り方や運営の仕方を改めて考え直す時期なのではないかと思わされました。また細かいテクニックとして、個人情報の取得を避けるようにしている点、新築集合住宅へは直接勧誘に行っている点など教えて頂きました。

また開発会社のスミ電機さんは、「現状は持ち出し開発・運用だが、将来的には従量課金か地域の広告費で運用を想定している、地域へ還元していけるような運営方法を松山校区と一緒になって考えていきたい」とおっしゃっていました。

この取り組みに対する意見交換では次のようなものがあがりました。デジタルの良い点であるやりながら改善しやすい点を生かして、地域と地域企業の2人3脚でプロジェクト進めるなかで、課題や取り組みの解像度を高めていけたらよいなと思いました。

  • 松山校区は回覧板がマンション各戸にまで回ってくるようになっているものの、脱退者も一定数いるようでマンション内でも歯抜け状態になっている。子供がいるので地域との関わりを持っているが、大きくなったらマンション内だけでの生活になってしまいそうな気もする
  • スマートフォンに対応できない方が非常に多いので、回覧板はデジタル化すべきでない。電子回覧板を導入しても、紙とデジタルのハイブリッド運用になる手間が大きい。若年層だけへのイベント情報発信などには効果的に思う
  • 行政サービス「地図みる とよはし」をよく利用している。非常に役立つサイトである一方で、防災情報は別サービスがあったりなど縦割りが目立つ。特にデジタルツールでは、省庁横断的に情報共有したうえでサービス企画をしてもらえるとよいと思っている。
  • ツールだけでなく仕組みを変える必要もあるなと感じた。そこまで働きかけられるようになるとよい。そういう意味では、デジタルツールで自治会活動を可視化できる点が重要と感じた。

当日は豊橋技術科学大学 小野研究室の学生がレコーディングをしてくれました。


まとめとこれから

まず今後の地域自治組織の目指す姿・求められる姿を考えることが大切であり、そのうえで、何をどうデジタル化するかを吟味する必要があります。

今回の松山校区の電子回覧板では、市民の簡便化・宣伝の省力化・活動の可視化・情報の地産地消・組織間の連携などで効果がありそうな一方で、デジタルツールを使えない方への対応や運用をいかに継続していくかが大きな課題と捉えられます。地域と地域企業の2人3脚のプロジェクトをどう進めていけるか、これからも他組織の参考になるように共有・議論を続けていけたらよいと思います。


未来セッション

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